祭りの思い出

神出 晴夫

トバづくり

  平成4年のことです。2日間のまつりが両日とも朝からの大雨で、全ての行事が中止になりました。当然来場者も少なく、まつりの主要な財源を生み出す売店も売り上げが伸びず、およそ150万円の赤字を出しました。

  なんとかして赤字を埋めようと、実行委員有志が集まってのトバ(サケの寒乾し)づくりが始まりました。サケは中村商店さんの協力で無料で提供していただいたのですが、なんとその数400尾以上。早速、 会場部長の辻谷さんがサケの干し場を作りはじめました。辻谷さんは建築屋さんです。

   サケを捌く者、洗う者と手分けをして悪戦苦闘を続けるも、200尾ほど乾かしたところで日没、翌日も朝からのトバづくりになりました。

  「生臭くて我慢できない」「生魚なんてさわったこともないのに」いろんな声が飛び交いながらも、みんな一生懸命がんばって、400尾のサケを乾かし終わったときはすでに真っ暗でした。みんなのホッとしたような、疲れきったような顔。1尾3~4㎏のサケを何度も動かすわけです。延べ重量で5t以上の物を運んだ作業量があったのです。

   密漁看視人に賃金の代わりにサケを払い下げた先人にならい、手伝ってくれた人のお礼に完成したトバを差し上げました。

  このときの収益は15万円ほどでした。因みに、欠損はその後の努力で平成8年に完済しました。

   入口さん、辻谷さん、青能さん、花田さん(故人)、飯盛さん、村本さん、大島さん、梅沢さん、その節はご苦労様でした。